ラヴェンダー
ラヴェンダー Lavender (Lavandula シソ科ラヴァンデュラ属) Lavandula Angustifolia
ラヴェンダーは、地中海沿岸を原産の常緑小低木。一見草本のようですが、木本で、生長は遅いものの年々大きく育ちます。芳香で知られるだけでなく、殺菌作用や防虫作用もあることから、ミス・ラヴェンダーの母親は、防虫効果も期待して、シーツにラヴェンダーの香りを移していたのでしょう。
花言葉は「心に秘めた愛」、「貞節」、「じっと待っています」。 このロマンスになんとふさわしい花ことばでしょうか。 |
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「あなたがた、めいめいにラヴェンダーの花束をあげましょうね」 ・・・・・「とてもいい匂いでしょう? 母が大好きだったのですよ。この土手にずっと植えたのは、母なんですの。父もそれはそれは好きでしてね。それで私にラヴェンダーという名を付けたのですよ。 『アンの青春』第21章 ミス・ラヴェンダー
そしてその晩、休んだ客間のベッドのシーツがラヴェンダーの匂いがするので、父は一晩じゅう、目を覚ましていて母のことを考えていたのですって。それからはラヴェンダーの匂いが大好きになって・・・ ("I'm
going to give you girls a bunch of lavender apiece," said Miss
Lavender brightly, as if she had not heard the answer to her
question. "It's very sweet, don't you think? Mother always loved it.
She planted these borders long ago. Father named me Lavender because
he was so fond of it. The very first time he saw mother was when he
visited her home in East Grafton with her brother. He fell in love
with her at first sight; and they put him in the spare room bed to
sleep and the sheets were scented with lavender and he lay awake all
night and thought of her. He always loved the scent of lavender
after that. . .and that was why he gave me the name. Don't forget to
come back soon, girls dear. We'll be looking for you, Charlotta the
Fourth and I." ) |
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庭のラヴェンダーが朝日に輝く
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日本のラヴェンダーは、何と言っても北海道の富良野。
北海道で本格的に栽培が始まったのは、第二次世界大戦後の1950年代から。
ラヴェンダーを代表的な種類に分けると。
かねて原文にある、「学校が始まり、いつしか、黄金色と真紅の美しい十月になった。」この描写と、「あなたがた、めいめいにラヴェンダーの花束をあげましょうね」、ここのところがどうにも納得できないでいました。Dのレースラヴェンダーの花期は秋、しかし、寒さに弱い。この1種類を除くといずれも花期は7月から8月。原作の花は、耐寒性のあるイングリッシュ・ラヴェンダーの可能性が一番強いのですが、原文の描写に合致しません。ラヴェンダー、特にイングリッシュ・ラヴェンダーの花期は7月から8月。10月にはすでに花は終わり、そろそろ葉も冷気に傷み始めているはずですから。
2番花を咲かせるには、気候が厳しすぎるとも考えられます。おそらく、ミス・ラヴェンダーは、サシェ(におい袋・香り袋)を
母親の記憶を閉じ込めるように沢山つくったのでしょう。 ***** イギリス映画 『ラヴェンダーの咲く庭で』。***** 1936年、大戦前夜のイギリスが舞台。ジャネットとアーシュラの老姉妹のもとに現れた、若きヴァイオリニストの青年・アンドレアとの関わり合い、彼に対するほのかな思い・・・短く幸せな夏・・・それは人生の宝石箱。 この映画、是非観てみましょう。
追記 (2018.10.6) |