かえで     

  かえで  楓 カエデ科カエデ属  Maple  カエデ(Acer) の木の総称。  

カエデは世界各地に分布する落葉樹。新芽の赤は美しく、秋に赤や黄色に紅葉します。(紅葉と黄葉)

かえでともみじの違いは?もみじとは「もみつ(動詞)」紅葉、黄葉すること。なかでもかえでの色がとりわけ美しいことから、いつしかもみじ=かえでと呼ばれるようになりました。
かえではもみじの一種で、さらにその代表的な存在。  もみ=紅絹

植物分類上、もみじとかえでは同義。
一般には、葉の切れ込みが深いイロハモミジなどをもみじ、切れ込みが浅いイタヤカエデなどををかえでと区別しています。
(漢字の「楓」は、本来マンサク科のフウを指します。楓を「かえで」と訓読みするのは葉の形が似ていることによる慣用で、植物学的には異なる植物です。)
 

 池のふちにおい茂っている樅や楓(maples)などが、ゆれる水面にうっそうとした半透明の影を落としていた。  
                  『赤毛のアン』第2章  
マシュゥ・クスバート驚く
  (
Above the bridge the pond ran up into fringing groves of fir and maple and lay all darkly translucent in their wavering shadows.)

 「楓(maples)ってとても社交的な木よ」とアンは言う。     
                                                     『赤毛のアン』 第15章  教室異変

 (Here Diana met her, and the two little girls went on up the lane under the leafy arch of maples--"maples are such sociable trees," said Anne; )

 ・・・果樹園のかえで(maples)はふかい真紅の色に、・・・」  
                                               『赤毛のアン』 第16章  ティー・パーティの悲劇

 (October was a beautiful month at Green Gables, when the birches in the hollow turned as golden as sunshine and the maples behind the orchard were royal crimson and the wild cherry trees along the lane put on the loveliest shades of dark red and bronzy green, while the fields sunned themselves in aftermaths. )

  「恋人の小径」のキラキラ輝く楓(maples)のアーチの下を歩いて行った。
                『赤毛のアン』 第18章 アンの看護婦

(Anne had gone home in the wonderful, white-frosted winter morning, heavy eyed from loss of sleep, but still talking unweariedly to Matthew as they crossed the long white field and walked under the glittering fairy arch of the Lover's Lane maples. )

  鏡のような森の池のまわりに静かに立ちならぶ楓(maples)の真紅のつぼみ、・・・
                          『赤毛のアン』第27章 虚栄の果て

 (She probably imagined that she was thinking about the Aids and their missionary box and the new carpet for the vestry room, but under these reflections was a harmonious consciousness of red fields smoking into pale-purply mists in the declining sun, of long, sharp-pointed fir shadows falling over the meadow beyond the brook, of still, crimson-budded maples around a mirrorlike wood pool, --)
 

グリーンゲイブルスの周囲の自然描写で印象的なのが森や林を形作る木々の形容。
なかでもカエデのその清新な葉や幹の色や形、さらさらした葉ずれ、輝く楓のアーチ、真紅に紅葉する葉、厳しい冬を越して芽吹いた赤いつぼみが印象的です。さらにシラカバの光る幹が取り囲む。これ以上の道具立てはありません。
 
 

     尾瀬沼の入口で.


    カナダ・バンクーバー空港

 
  樅や松はいつも親しみを感じさせるが、楓やポプラのように秘密は打ち明けない。 
                        『エミリーはのぼる』  第16章  流れ木

 (The firs and pines are always friendly, but they tell you no secrets as maples and poplars do: they never reveal their mysteries--never betray their long-guarded lore--and so, of course, they are more interesting than any other trees.)

 

風に揺れる楓やポプラの葉擦れの音と、自分の心の襞とが共鳴し、ある時は弾み、喜び、時には沈んだ気持ちを引き上げてくれる・・・ 。

これを「秘密を打ち明けあう楓」と表現したモンゴメリと、作者の息遣いに耳を澄ませた村岡訳には感嘆します。

 

島の自生種は大きく2種類に分けられます。

・Red Maple
高さ20mにも育つ強健な種類。その赤いつぼみや房になって咲く花、次第しだいにさらさらと鳴る緑へと変化していく様子が美しい。

・Mountain Maple
上のレッドメープルに比べ、背が高くならない種類。(7m前後)
秋には鮮やかな赤や黄色に紅葉・黄葉します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

近くの道の駅の「イタヤカエデ」


秋の終わり、ウリカエデの種が風に吹かれて旅立つ様子はまるでヘリコプター。
ぐるぐる、螺旋を描きながら落ちていきます。努力の割りに遠くまで飛べないのがこっけい。芽生えた幼苗を抜くのが大変です。
秋の終わり、この楓の努力に目を向け、
弾ける、動物に運んでもらう、閉鎖花を付ける、むかごを付ける、などとさまざまな工夫をして繁殖をめざす植物の、一途な思いを汲み取って、季節の移り変わりを心にとどめておきたいのです。

カエデの名前の由来は、葉がカエルの手に似ていることから。
『万葉集』ではかへるで  (万葉表記   蝦手 加敝流弖 )   
 

   子持山若かへるでのもみつまで寝もと我は思ふ汝はあどか思ふ 東歌 巻14-3494 

この時代には色が厳密に識別されていません。

暗い=黒 明るい=赤 顕く(しるく)=白 漠い(あおい)=青 色をこれら四通りに呼びました。
四色に「黄」が加わり、さらに緑や紫が認識され飛鳥時代には階級に色が対応するように。
平安時代になるとさらに多くの色が意識されるようになり、日本の伝統色として作られ、美しい言葉と共に今に残ります。

                                                           カナダの国旗