かぶ

     かぶ   洋種かぶ   turnip

カブの上部は写真のように赤紫色。下半分は白い表皮の西洋のカブ。
近くの道の駅で売られることもありますが、日本のカブより水分少なめで肉質がかたく苦味が残り、繊維が目立ち、日本風に漬物にすると固くて、私はあまり歓迎しません。
反対に煮崩れしないので、煮込み料理に向いています。
『生活事典』によると、当時島では牛や豚の飼料として栽培されていました。同時期の『大草原の小さな家」シリーズによると、人間の食料として大いに利用されたようですから、プリンス・エドワード島と、アメリカ西部の開拓地帯との生活水準の差がこういう場面でも見られるようです。
 
  マシュウ・クスバートは、「緑の切妻」の向こうの、広い赤土の畑の蕪は蒔いてしまったらしかった。
 (and Matthew Cuthbert ought to have been sowing his on the big red brook field away over by Green Gables.)

この分の前に、リンドさんが「
hate turnip seed 」(晩生の蕪)を蒔いた、という記述があるので、ここではマシュウは同じく「晩生の蕪)を蒔いたのでしょう。

 
 ・・・・もし蕪の種が足りなくて買い出しに行くのなら、あんなにめかしこんで馬車をひっぱって行くはずはないし、お医者様を迎えに行くにしては急いでいるようすもなかったし。
(He doesn't generally go to town this time of year and he never visits; if he'd run out of turnip seed he wouldn't dress up and take the buggy to go for more; he wasn't driving fast enough to be going for a doctor. )
                   『赤毛のアン』 レイチェル・リンド夫人の驚き
 

   パープルトップターニップ (purple top turnip)


島の桜が咲く6月に晩生の種を蒔く。したがって収穫は秋でしょう。リンドさんもマシュウも、寒い地方の冬の牛馬の食料栽培という大事な仕事をしていたのです。
ですから、この忙しい時期に「めかしこんで馬車で駅へ向かうマシュウ」には、孤児院から子供を引き取ることに関して、それなりの決心があったようです。 

* 蕪の栽培・・・輪作について
『エミリー」シリーズに、「「蕪を煮て家畜の飼料にする」という場面があります。
人間の食料として、また冬の間の家畜の飼料として有用なかぶ。
本格的な酪農農家ではないグリーン・ゲイブルスですが、原本の記述から小麦、ジャガイモ、かぶ、そしてマメ科の植物のクローバーを輪作している様子が伺えます。
病気が蔓延するのを防ぎ、害虫の発生を抑えそのライフサイクルを断ち切るために、牧畜と耕作を一体化し、飼料用の作物を栽培することで生産性を増す。
こういう利点があります。
特にマメ科のクローバーは、空気中の窒素を固定でき、土壌性細菌と共生し、それを土壌に鋤きこむことで農地を富ませることができます。放牧する牛馬の糞もさらに富裕化を促進しますね。

** 当時の島では、農地をどのように富ませていたのか、要調査です。