かぼちゃ

 かぼちゃ    ウリ科カボチャ属 (学名 Cucurbita) 

カボチャ(南瓜)は、ウリ科カボチャ属の総称で、もっぱら食用の果実を言うことが多いようです。
南北アメリカ大陸原産。カロチン、ビタミン類を多く含む緑黄色野菜。
保存できるので冬期の食料として特に有用でした。

 
 
先月あたしが行ったさきではほとんどどこでも、夕食にかぼちゃの砂糖漬け(P. P.)を出しました。初めて出されたとき、あたしは大好きだったのです --- すばらしい黄金色をしているので、まるで砂糖漬けにした日光を食べているような気がしたのです。・・・しきりにほめたのです。・・・あたしの大好物だということが評判になり・・・・・・・・・・・カットグラスの鉢にかぼちゃの砂糖漬け(P. .)を山盛りにしておいてありました。 ・・・・・・こっそり真夜中に庭に埋めてしまいました。(we buried it darkly at dead of night in the garden.) 
                                                               『アンの幸福』  最初の一年  
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 (
"Almost everywhere I've gone for the last month I've had P. P. for supper. The first time I had it I loved it . . . it was so golden that I felt I was eating preserved sunshine . . . and I incautiously raved about it. It got bruited about that I was very fond of P. P. and people had it on purpose for me. Last night I was going to Mr. Hamilton's and Rebecca Dew assured me that I wouldn't have to eat P. P. there because none of the Hamiltons liked it. But when we sat down to supper, there on the sideboard was the inevitable cut-glass bowl full of P. P.)
 

  カボチャの雌花 すこし膨らんで
 


  ハロウィン用のカボチャ 56Kgもあります。
  このあとは、牛の餌に。 
 

昨年の秋、近くの産直のお店にとてつもなく大きなカボチャが展示されていました。
その横には、看板が立っていて、

「このカボチャは100円。
ただしお持ち帰り願います。」
        その重さたるや「200Kg」!

アンはよほどこのかぼちゃの砂糖漬けの洪水に疲れ果てたようです。(I am so sick of pumpkin preserves!)
ギルバートへの手紙の初めには「かぼちゃの砂糖漬け(pumpkin preserves)」と書いているのに、続きの文には、単に「P..」との記述。この言葉を口にするのも嫌だという気分が良く出ています。

「あたしたちの夢の家では決してかぼちゃの砂糖漬けなんかたべますまいね。」といきさつを話し始めるアンの口ぶりがなんとも可笑しく、真夜中に庭に埋めた、ときた日には抱腹絶倒!
いくばくかの後ろめたさと共犯意識とが綯交ぜになったこのシーンで、midnight ではなくてdead of night を使っているのが印象的。かぼちゃを埋葬するのかと、うっかり思ってしまいました。

日本ではかぼちゃの煮物、島では砂糖づけ(preserved in sugar )。普段の生活の脇役として重要な野菜です。

  グレン村中に落葉をたく匂いが漂い、納屋には大きな黄色いかぼちゃが山と積まれ(a heap of big yellow pumpkins in the barn)、スーザンは初のつるこけもものパイをこしらえた。             
              『炉辺荘のアン』 第25章  駒鳥と犬

(
There was a reek of leaf fires all through the Glen, a heap of big yellow pumpkins in the barn, and Susan made the first cranberry pies.)
                                               
 ツルコケモモ

 なつかしい。
これを私の子供の頃の出来事に訳しなおすと、

「収穫の終わった田んぼに、稲わらや大豆の殻を積み上げて焼く煙が辺りにたなびき、いがらっぽい匂いが秋の夕暮の、締め切った障子の隙間から家のなかに入り込んでくる。
両親は冬の食料にと、白菜や里芋や南瓜を新聞紙にくるんで蔵にしまい、子供たちは鶏を小屋に追い込んだ。
今夜、脱穀したばかりの小豆ともち米で、母さんが作ってくれるお団子を楽しみにしている」。

     ○  幼らにともしび灯し過ぎゆけるかの日かのひと夕暮れの香  (Ka)