ヘリオトロープ

 ヘリオトロープ  木立瑠璃草 
           ムラサキ科キダチルリソウ属  (Heliotropium arborescens

ヘリオトロープは、ムラサキ科キダチルリソウ属の植物の総称。特に代表種のキダチルリソウを指すことが多いようです。
語源はギリシャ語の
helios(太陽)+trope(向く)で、「太陽に向かう」という意味があります。
しかし向日葵も同じですが、生育途中はともかくも、花を咲かせるまで生長すると、太陽を追って運動することはありません。南米エクアドルからペルー原産。フランスの園芸家が18世紀半ばに種子をヨーロッパに送り、以後世界に広まりました。日本には明治時代に伝わり、別名は香水草。明治の貴婦人はこの匂いを沁みこませたハンカチを懐に隠し持っていたのでしょうね。肝心の香りは・・・バニラのような甘い香りに似ていなくもありません。もう少し微妙な香りが足されているような、不思議な香りです。
 

 (ギルバートは、有名な、熱帯病についての専攻論文の筆者と熱心に話していた。) しかし、アンはヘリオトロープの匂い(sniff of heliotrope)をさきぶれにクリスチンが階下におりてきたとき、かの専攻論文がたちまち忘れ去られたのに気がついた。ギルバートははた目でも見てもわかるほど熱心に目を輝かせて立ち上がった。          『炉辺荘のアン』 第42章 結婚記念日 

(But Anne noticed that when Christine came downstairs, heralded by a sniff of heliotrope, the monograph was promptly forgotten. Gilbert stood up with a very evident light of interest in his eyes.)
 

       

クリスチンは、ヘリオトロープの花を身に着けていたのでしょうか、それとも香水を付けていたのでしょうか。 島で育てるには、冬期の管理が大切で、室温5℃以上をたもたないといけません。
クリスチンの出で立ちはこうです。
金色の裏地で、裾を金色のレースで裏打ちした紫びろうどのガウンをまとい、金色の細いリボンを髪に飾り、ダイヤモンドをちりばめた金鎖をしていた、と。
この時まだアンは、ギルバートが、誕生日のプレゼントにダイヤモンドのペンダントを用意していることなど知りません。

アンや。泰然としていなさい。自分に自信を持ちなさい。