青い目の草

  ブルーアイドグラス  青い目の草  Blue-eyed grass 
                        アヤメ科ニワゼキショウ属

Blue-eyed grassは、アヤメ科の植物で、初夏、日当たりの良い草原などに生える北米原産の多年草。
ニワゼキショウ属は、北米に70種ほどあり、このニワゼキショウは東部が生まれ故郷。
同属には薄紫、赤紫、白などの種類もあります。
草丈は10センチから50センチ。青紫色の小さな可愛らしい花を付けます。
花は一日花で、咲いた後は、小さくてまん丸い刮ハ(さくか)を付け、熟して弾けるのを待ちます。

帰化した日本での名前はニワゼキショウ(庭石菖)。
庭石菖は庭に咲く石菖の意味ですが、セキショウはサトイモ科の植物で、これは葉の形が似ているからか。
やや大きいオオニワゼキショウは草丈が50センチ前後。

属名の Sisyrinchium は「セイヨウヒメアヤメ(Iris sisyrinchium)」の種小名が転用されたようです。
ただしこのSisyrinchiumは「豚の鼻」の意味があり、英語での別名はPig Root.こんなに可愛らしい花なのに、なぜ豚なの?ギリシャ語のsys(豚)+rhynchos(鼻)」が由来で、豚がニワゼキショウ属の植物の根を掘り返す習性があるのだそうです。

高級きのこのトリュフを掘るのならば大歓迎ですが。このニワゼキショウの根など掘り返してどうするのでしょう。植物フェロモンでも出して、豚を呼び寄せているでしょうか。
植物がなんらかの行動を起こす目的は、繁殖と捕食者忌避、これが二大目的だと思うのですけど。
 

  二人はアンの家の庭をよぎる小川の岸の青草(blue-eyed grasses)の中に座っていた。水は二人のそばをきらめき、低い声で歌いながら流れて行った。
            『アンの夢の家』 第21章 沈黙のせきを破って 

 (They were sitting among the blue-eyed grasses on the bank of the brook in Anne's garden. The water sparkled and crooned past them; the birches threw dappled shadows over them; roses bloomed along the walks. )

 青い目をした草(blue-eyed grass)がいっぱいはえているドンキンさんの牧草地は、まわりを樺でかこまれ、いかにも満足しきった感じだ。   『マリゴールドの魔法』 第3章 1

 Mr. Donkin's dear little pasture-field, full of blue-eyed grass, with the birches all around it, was such a contented field.

 (祖母に許されてマリゴールドは)果樹園の青い目をした草(blue-eyed grass)の上を足に翼が生えたように走っていった。「緑の木戸」を過ぎ、心配になってちょっと立ち止まった。
                    『マリゴールドの魔法』 第7章 4 

 (Marigold stood still for a moment, transfigured. Her face was as blithe as the day. It was as if a little shower of joy had rained down upon her out of the sky. She flew through the orchard room--through The Magic Door--through the blue-eye grass of the orchard as if there were some Atalanta wizardry in her feet. Through the Green Gate. For another moment she stood, almost afraid. Suppose Sylvia--Then she shut her eyes and said her Rhyme)
 



   藍色庭石
菖 アイイロニワゼキショウ

    庭石